2010年2月20日土曜日

OOP演習で学ばせたいこと(1)

このブログの新企画です.教材設計マニュアルに基づいて教材開発をする過程を公開してしまおうと思います.ソフトウェア工学の教育に関心のある企業・大学の方々だけでなく,先日熊本大学にて巡り会えた,熱い情熱を持ってそれぞれの分野で活躍されている教育者の方々などから意見をもらうことでブラッシュアップを図ろうというもくろみがあります.応援よろしく!

開発対象は,今年から開講する授業「オブジェクト指向プログラミング演習(OOP演習)」の教材です.OOP演習は,毎週2時限分(180分)を計14回行います(近々15回に増えるかもしれない).

鈴木メソッド(教材設計マニュアルの方法論)は3つのステップで構成されており,第1ステップは教材企画書の作成です.資料2(p.164)によると教材企画書は以下で構成されています.
  1. 教材のタイトルと内容
  2. 教材の対象者集団
  3. 内容選択の理由(教材の4条件に照らして)
  4. 学習目標と目標の性質
  5. 事前事後テスト
  6. 教材利用者の前提条件とそのチェック方法
  7. 報告書作成者名と点検者名
ただし,ここでいう教材は,1時間程度で学習できる内容のものを想定しています.今やりたいことは計14回の授業全体をどう構成するかです.つまり,どちらかというとシラバスをどう作るかという話です.教材設計マニュアルにはシラバスの例として,次のような構成要素を挙げています(p.180:資料9 一部の記述は一般化しています).
  1. テーマ
  2. 内容
  3. 講義を受けるための条件
  4. 講義の目指すもの(学習目標)
  5. 講義の進め方について
  6. 評価方法について
  7. スケジュール
  8. 教室について
  9. オフィスアワーについて
シラバスをどう作るかについては,教材設計マニュアルには明示的には書かれていませんが,類推できます.「教材の構造を見極める」にあるように,出口となる学習目標を定義したあと,入口に向かってさかのぼるように課題をブレークダウン(課題分析)し,1時間程度でおさまる分量に分割していくのでしょう.

そういうわけで,さっそく思いつくまま書いてみました.


下に行くほど基礎的,上に行くほど応用的な学習目標です.左右に並んでいるのは,並行して学べる学習目標です.図中の(pre)とあるのは,他の授業で習った(はずの)ことです.

これくらい一通りできないと,オブジェクト指向のソフトウェア開発について学びましたとは言えないだろうと思います.が,見ての通り,教えなくてはならないことがてんこ盛り.授業時間におさまるのか?教材を作りきれるのか?と不安です.

とりあえず優先順位をつけて,OOP演習では赤い字の学習目標だけでも達成できたら,ひとまずOKだろうと考えました.「UMLをもとにプログラムが書ける」「構造化できる」「OODができる」「OOAができる」の4つです.

仮にこれらの学習目標を設定し,さらに明確化・ブレークダウンして教材企画書の形に書いていこうと思います.