2010年2月19日金曜日

教材設計マニュアル

今回紹介する本は,教材設計マニュアル―独学を支援するためにです.


熊本大学には e-learning を e-learning で教えるユニークな大学院があります.著者の鈴木克明先生は,その大学院の専攻長をされています.鈴木先生は Instructional Design (ID) という教育の方法論の専門家です.この本は,鈴木先生の豊富な知識と長年の経験に基づいた教材を作るための方法論を紹介しています.
ソフトウェア工学になじみのある人には,eXtreme Programming にノリが近いといえば分かるでしょうか.テストファースト,反復開発,オンサイト顧客といったプラクティスと共通性があります.


余談ですが, eXtreme Programming と共通性のある考え方は,ソフトウェア開発・教育だけではなく,経営戦略でも同時多発的に起こっています.経営戦略とソフトウェア開発については,起源は80年代の日本企業の強さを欧米が徹底的に研究したことに由来するそうです.これは僕の仮説ですが,おそらく ID の分野でも同時期に日本企業研究にヒントを得て欧米で研究が進んでいて,それを鈴木先生が逆輸入したのではないかと思います.真相はいかに?




2013/4/28 追記
鈴木先生に以前この話を伺ってみたところ,IDの分野では日本企業研究とは別個に進んでいたようです。ソフトウェア工学や経営学においても,日本企業研究とは別の由来で,反復開発的なプロセスを研究していた流れもあったようで,それがたまたま合流したということのようです。