2014年9月19日金曜日

ビジョンとミッション

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ビジョンとミッションを改訂しました。ビジョンとミッションを立てることの意義については倉貫さんビジョンとミッションの大切さ 〜 ミッションの気付きとビジョンの見つけかた」を参照ください。



ビジョン

私たちが大事にしている価値観は多様性です。現代の日本社会に閉塞感を感じる人が多いと言われていますが,その一因は,本当は個々人で多様な意見を持っているのに,「空気を読む」ことを暗黙のうちに強要して一様な意見しか言わなくなるからじゃないでしょうか。そして多様性は創造力・想像力を生み出す源泉です。多様になれば,閉塞感を打ち破るような発想がどんどん飛び出るのではないでしょうか。
もっと多様性を受け入れるような社会にしたい。それが私たちの願いです。そういう社会にするためには,大規模組織が少数しかない選択肢の少ない世の中よりも,いろんな個人や小規模組織がそれぞれの価値観で活躍するような選択肢の多い世の中の方がいいと私は信じています。そして教育も,似たような人材を大量生産するような画一的な教育よりも,学生それぞれの個性を見極めて長所を伸ばすような教育の方が望ましいと私は信じています。

多様な価値観が並立する社会を支える個人や小規模組織を多く輩出・支援する

生理的欲求や安全欲求がほぼ満たされた現代日本においては,いずれ個人それぞれが自己実現を目指す社会に変わっていくと信じています。そのような社会では,それぞれの多様な価値観を尊重しあうようになると私たちは考えます。その実現に向けては,全国民や大規模組織が単一の理想を追い求めるよりも,個人または小規模組織がそれぞれの価値観にしたがって迅速に行動する方が有利です。私たちは,確固たる価値観に裏付けられた機動性の高い個人や小規模組織を多く輩出・支援する教育者・研究者であろうというビジョンを掲げます。

個性に合わせた長所を伸ばす教育が当たり前の世の中にする

個人それぞれが自己実現を目指す社会にしていくためには,まず自分の潜在的な可能性に早く気づくことが大事です。そして,その可能性に賭けて積極的に学びを深めて実践の機会を設けることが必要です。その実現に向けては,学習者一人一人に目を配れるように,また学びを促進させていくように,教育のあり方を変えていくことが必須です。私たちは,そういう新しい時代にふさわしい教育を広げる教育の伝道者であろうというビジョンを掲げます。

ミッション

私たちは今までにソフトウェア工学,マーケティング,教育の3つの分野にまたがる領域を研究してきました。そこで,ビジョンで掲げた多様な価値観を受け入れる社会に変えていく原動力になるような,それぞれの分野の専門家を支援したり育成したりすることをミッションとしています。 ソフトウェア工学とマーケティングの人材が連携すると,ITを駆使した新時代のビジネスを興すことが可能になります。このような人材をたくさん育成するには教育の力が欠かせません。これら3つの分野にまたがるミッションによってビジョンで掲げる多様性を受け入れる社会の実現に近づけます。

IT・組込みシステムを活用・開発する多能工プログラマを育成すること,多能工プログラマ育成につながる技術コミュニティを支援すること

ソフトウェアは今後一層重要になります。ソフトウェア開発では人が最も大事な財産です。現在ではあらゆるコンピュータやデバイスがインターネットにつながります。またソフトウェアは,私たちのビジョンに示すような機動性の高い個人や小規模組織が社会に対し大きな影響力を持つことに貢献します。そのような支援をするためには,開発工程やいわゆるIT系・組込み系といった業界ごとに分断された狭い領域に特化した人材ではなく,工程や業界の枠を超えて1人でシステム全体を開発できる多能工プログラマが求められるでしょう。また,多能工プログラマには幅広い知識と経験が必要です。そのため,多能工プログラマを育成するにはたくさんの分野の専門家の力を借りる必要があります。よって専門家が集う技術コミュニティにコミットしていくことも大事です。私たちはソフトウェア工学と教育工学の両方の知見に基づき,優秀な多能工プログラマを1人でも多く輩出し,それにつながる技術コミュニティを支援することを目指します。

確固たる価値観に基づいて未来の社会をデザインし行動する起業家を支援すること,およびそのような起業家マインドを持ったエンジニア,マーケッタなど起業家に直接貢献する人材を育成すること

私たちは,多様な価値観を尊重しあう社会の実現には,機動性の高い個人や小規模組織が多数存在することが不可欠だと信じています。その中核的な原動力は,確固たる価値観を持って行動する起業家だと私たちは考えます。社会の問題のほとんどは解がただ1つとは限りません。そもそも解が存在しなかったり,理想的な解が存在しても現実的でなかったりすることもあります。そのような問題を解決するには,さまざまな学問や技術を駆使して,実現可能な解を見つけ出していくこと,すなわちデザインの考え方が重要です。私たちは,まず既に活動している起業家にたいし共同研究・開発や人材育成などの面で支援します。また,学生や起業家を目指す人に専門分野の枠を超える学びと様々な社会問題に挑戦する機会を提供することで,デザインの考え方を習得した行動力ある起業家の卵や,起業家に共感しデザインやマーケティングで直接貢献できる人を1人でも多く輩出することを目指します。

教える技術のスペシャリスト(インストラクショナル・デザイナ)を支援・育成すること

個人それぞれが自己実現を目指す社会に変えていくには,教育の力が不可欠です。一人でも多くの優れたプログラマや起業家の卵たちを育てるのにも,教育の果たす役割は大きいです。効果的に教育するには,教える内容と教える技術の両方が必要です。しかし,今の教育の現場には教える技術を持つスペシャリストが決定的に不足しています。そこで,私たちは教える技術のスペシャリストの力を存分に発揮できるように支援していきます。具体的には,授業研究の成果を学会や教科書,ブログ,勉強会等の様々な形で社会に還元する仕組みを作っていきます。私たちは,そのような成果や仕組みによって全国に散在する教える技術のスペシャリストを支援したり輩出したりすることを目指します。

2014年9月2日火曜日

授業実践研究を3本まとめて発表します

国際会議 IIAI International Conference on Advanced Applied Informatics (IIAI AAI 2014) で3本の授業実践研究を発表します。

詳細な解説は後ほどするとして,取り急ぎ,発表スライドを SlideShare で共有します。






2014年7月31日木曜日

2014年6月10日火曜日

2014年4月10日木曜日

公開授業2014年前期のお知らせ

来週4月14日(月)から Canvas LMSと USTREAM(録画あり)を使った公開授業を開始します。なんと全15コマ公開する予定です。録画するので,授業実施後ならいつでもどこでも聴講できます。

科目は月曜日のソフトウェア工学概論と火曜日のソフトウェア設計論(UMLリテラシー)です。参観を希望する方は下記URL(Google アンケートフォーム)より申し込みをお願いします。追って詳細を連絡します。

https://docs.google.com/forms/d/1XZfXcdBGW-4rpM9xRJvJSkXRiAdOua3srFSI45ZF6G4/viewform

Canvas は次世代 LMS (Learning Management System: 学習管理システム)で, Moodle とは別次元の使い勝手の良さです。あまりに使い勝手が良く創作意欲が刺激されたので,授業を大幅にリニューアルすることとなりました。

授業はどちらもインストラクショナル・デザインに基づいて開発しました。反転授業の考え方をふんだんに取り入れています。私,山崎進の集大成となる授業ですので,この機会にぜひご覧ください。

追記: 2014/4/11
おかげさまで,たった1日で50人以上の申し込みがありました。厚く御礼申し上げます。同時に,プレッシャーを感じ始めました。

鋭意,準備を進めておりますが,初めてのことなので授業開始から生中継というわけにいかず,しばらくは録画放映することとなりました。すぐにはメールが届かなくても,安心してお待ちいただけたらと思います。

追記: 2014/4/30
ようやくソフトウェア工学概論(大学院科目)をゴールデンウィーク明けに公開できそうな見込みが立ちました。おかげさまで現在までに100名近くのお申し込みがありました。

追記: 2014/5/8
ソフトウェア工学概論(大学院科目)の公開を開始しました。参観希望者のみなさまには2通メールが届いているかと思います。迷惑メールに分類されている可能性もありますので,確認願います。もし届いていなければ,再発行も承ります。
ソフトウェア設計論(学部科目)についても5月末日の公開を目指し鋭意準備中です。
おかげさまで参観希望者数が100名を突破しました! ありがとうございます。

2014年2月18日火曜日

「反転授業の研究」オンライン勉強会: IDに基づく学習目標の立て方の実際と反転授業への応用【予習編】

2月26日(水)の「反転授業の研究」Facebook グループのオンライン勉強会で講演することになりました。

申し込みページ

【イントロダクション】

反転授業で,そもそも授業を反転させるのは何のためでしょうか?


  • 限られた授業時間を有効活用したい
  • 講義より演習の方が教育効果が高い
  • そこで授業の場では応用演習を行う
  • 基礎は自習教材を用いて予習させる


つまり【反転授業では自習教材の存在が大前提】です。自習教材の作り方と言えば「教材設計マニュアル」ですね。
そこで教材設計マニュアルを手本とした授業作りの事例を紹介します。 私は教材設計マニュアルを手本として講義に頼らない演習中心の授業をしてきました。 その実践を通してインストラクショナルデザイン(ID)を学んでいくことになります。 最終的には反転授業とその先の世界にたどり着くのですが,その道のりを示しましょう。

【予習資料】

もし教材設計マニュアルをお持ちでしたら,第3章「教材の責任範囲を明らかにする〜出入口の話〜」,第4章「テストを作成する」,第5章「教材の構造を見極める」を熟読してください。

お持ちでない場合は,次のウェブページを参照ください。

到達目標について 熊本大学ティーチングオンライン
http://kuto.kumamoto-u.ac.jp/index.php/syllabus/6

学習目標の立て方〜5分類を活用しよう〜 富士通ラーニングメディア
http://www.knowledgewing.com/kw/blog/2010/09/201009281628.html

ガニェの学習成果の5分類 熊本大学教授システム学専攻
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/opencourses/pf/2Block/04/04-2_text.html

【予習課題】

「反転授業の研究」Facebook グループにて展開されている下記の質問に回答してください。回答はリンク先の Facebook グループコメント欄に記入してください。

  1. 自分の専門分野のある単元について,学習目標を書いてみましょう。また学習成果の分類で言うとどれに該当しますか。
  2. 学習目標が「理解する」ではダメな理由は何でしょうか。その理由に違和感はないでしょうか。みんなで議論してみましょう。
  3. ID の適用事例や反転授業への応用について,期待すること,質問したいことをぜひ書いてください。


【補足資料】
余裕がありましたら,次のウェブページに目を通していただければと思います。

知的技能 熊本大学教授システム学専攻
http://www2.gsis.kumamoto-u.ac.jp/eLF2003/kyouzai/task/5bun/1.html

講演編はこちら
http://zacky-sel.blogspot.jp/2014/02/flipped-classroom-with-ID-2.html

2014年2月11日火曜日

ものづくりの心

子ども向けの DVD を見ていたら.思いがけず,ものづくりの心を教わりました.

ティンカーベル
  • ものづくりが大事な仕事であること
  • ツール・プロセス・チームワークによってものづくりの効率が飛躍的に高まること
  • ものづくりのモチベーションを保つには,直接・間接的に顧客と接する機会を持つことが大事であること




2014年2月3日月曜日

2013年度 修士論文・卒業論文

2013年度の修士論文・卒業論文の発表者とタイトルを紹介します.

まず修士論文(4名分)を紹介します.

池田 恭平
 プロトコル分析とインパクト分析を用いたMoodleのユーザビリティ評価
 Usability Testing of the Moodle System Using Protocol and Impact Analysis

石井 淳司
 ソフトウェアテスト技法ドリルの評価・分析・再設計: 学生向けの学習方略
 Evaluation, Analysis and Re-design of the Drill of Software Testing Techniques: Learning Strategy for Students

川上 達也
 軽量 Ruby 言語を用いた組込みプログラミング教材 の開発と評価
 Development and Evaluation of Teaching Materials for Embedded Programming in the mruby Language

山内 光
 Personal Software Process の導入コスト:サーベイと教育への応用
 Implementation Cost of Personal Software Process: Survey and Application to Education


続いて卒業論文(6名分)を紹介します.

奥野 晋稔
 OAuth認証の学習過程の分析と大学生向け教材の開発

小野 正太郎
 Ruby言語の写経プログラミング学習過程の分析と考察

篠原 辰徳
 コードレビューとコーディングガイドラインを併用したプログラミング学習方略の提案・評価と小規模組織の協調学習への適用

野坂 卓弥
 ビジネスモデルキャンパスとアブダクションを用いた大学・学生間相互コミュニケーションの分析と考察

橋本 直幸
 共感マップを用いた古着ECサイトのプロトタイピング

松尾 牧人
 繰り返し型発想・開発プロセスの提案: 二足歩行ロボットの開発経験とリーンスタートアップ/アジャイル開発との比較考察


詳細希望の方は,私に Facebook でメッセージいただくか,右下の「この記事の感想を送る」で問い合わせください.

2014年1月28日火曜日

インタビューを受けました: Facebookグループ「反転授業の研究」の田原さんから

「反転授業の研究」の田原真人さんからインタビューを受けました。ソフトウェア工学概論などIDに基づく反転授業の実践事例を,私が自分で紹介するよりとても伝わりやすく紹介いただけました。

http://flipped-class.net/wp/反転授業オンライン勉強会/北九州私立大学の山崎進さんにスカイプインタビ/

昨年のランチョンセミナーの資料を元に紹介しました(下記)。

http://zacky-sel.blogspot.jp/2013/02/luncheonSeminar20130301.html

反転授業の研究の Facebook グループはこちらです。
https://www.facebook.com/groups/hanten/