2013年8月27日火曜日

教育理念: 主体的な学びを促進する場をつくる

私の教育理念について熟考しました.シリーズで紹介していきます.初回は「主体的な学びを促進する場をつくる」です.

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ただ受動的に教わるよりも自ら進んで学ぶ方が何倍も教育効果は高いです.
みなさんの経験でも,学校の授業,とりわけ日本では一般的な,教師から学生へ一方通行の講義によって教わっても,なかなか身につかないというのは実感していると思います.教師の板書やしゃべりは退屈かもしれませんし,授業の途中で疑問を持っても淡々と授業が進んでしまうので理解が追いつかないかもしれません.そもそも,その授業の内容に興味がないかもしれません.
これに対し,自ら進んで学ぶ場合には,自分でも驚くほど興味や意欲を持って取り組めることを経験している人も多いでしょう.たとえば,自分の趣味に打ち込むとき,資料を自分で調べたり試行錯誤しながら何かを作ったり自主的に日々練習したりしますが,そのときの集中力はとても高く,学校の授業で学ぶことと違い頭や体にすぐ覚え込ませることができるものです.
このように「自ら進んで学ぶ」状態を意図的に作り出せるとしたら,学校の授業が一変すると思いませんか? そのこともあって最近は「自ら進んで学ぶ」ことをうたった授業づくりが盛んです.

しかし,自主性に任せると称し実態としてただ放置することがしばしば行われますが,それでは,なかなか自ら学ぶようにならないものです.
なぜならば,人は生まれながらにして自主的に学ぶ姿勢を身につけているわけではなく,人によって学ぶ姿勢に個人差があるものだからです.その状態で,たとえば教師が全く介入せずに成り行きに任せて漫然とグループ学習を行うと,グループによってはうまく学びが促進されず,普通に講義を行う場合よりも低い教育効果しか得られない可能性が大いにありえます.そのような状態は,ただの放置です.放置するのでは,十分な自主性が育まれるとは限りません.

主体的な学びを促進するためには,学びやすい場を設計することが大事です.
たとえば,興味を持たせるための工夫をする,学生が興味を持った時にすぐに学習機会が得られるようにする(具体的には,資料等を取り寄せたり,自分でプログラミングして実験したりできるようにする),学生たちが自由に議論する(必要に応じて教師を交える)ような場を作る,学びを習慣づける取り組みを行うといったことを行います.これは近年話題になっているアクティブ・ラーニングの考え方の基本です.

私たちは,主体的な学びに関する教育研究の最新成果を取り入れて,授業や研究室で主体的な学びの場づくりを行います.