2011年2月19日土曜日

西洋の考え方(哲学,科学,...) 〜 時計じかけのオレンジ

今日は妻のすすめで「時計じかけのオレンジ」を見ました.それも映画と演劇の両方です.

快/不快でいえば,不快な作品ではありましたが,哲学的で考えさせられるところが多く,また見たいと思いました.精神的に大人になってから見るべき作品で,私も20代までだったら,この作品を見ても嫌悪感だけしか持たず哲学的な意味を考えることはなかっただろうと思います.

以下,作品そのものについては触れず,作品を見て私が考察したことを書きます.

まず思ったことは,この作品の端々に西洋哲学あるいは科学の考え方が見え隠れすることです.作品の中で純粋な(あるいは極端な)状態での究極の2択が現れます(具体的に何かは申しません).A と B という考え方のどちらをとるかを迫るのです.このアプローチはサンデルのこれからの「正義」の話をしようでもとられています.これが「考えさせられる」最大の要因です.

しかし,私はそこに違和感を感じます.仮にそういう極端な状況で考えると A の考え方が妥当かもしれないと思いはするのですが,でもやっぱり普段の状況だと A と B をその時々で総合的に判断するのが妥当だろう,と思ってしまうのです.抽象化しすぎ・捨象しすぎのように思えるのです.現代の西洋科学では複雑なものを単純化しないと扱えないのですが,それと同根なのだろうと考えるのです.

もう1つ考えたのが,西洋では「責任ある自由」をとても大事に思っている点です.そして自由には危険がつきもので,彼らは「自由であるがゆえの怖れ」と常に戦っているのです.

私は以前から自由と安定(安全・安心)は,ほとんど両立しない相いれないものだと薄々思っていました.この作品で感じた「自由であるがゆえの怖れ」を見て,確信に至りました.

と同時に思ったのは,もし自由と安定を両立する道があるとしたら,「自由であるがゆえの怖れ」を超克することが鍵になるのかもしれないということです.

映画




私は Apple TV で見ました.


演劇 



小説もありました



参考文献