2010年10月23日土曜日

ロジカル・プレゼンテーション 〜 自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」

今回紹介する本は,ロジカル・プレゼンテーションです.

プレゼンテーションと言っても,PowerPoint の作り方といった内容ではありません.「提案」そのものを,論理思考力,仮説検証力,会議設計力,資料作成力の4つの観点から,どのように緻密に構成していくかという話です.

論理思考力とは,A ならば B であるという論理があったときに,その論理を相手に心から納得させるための技術です.たとえば,論理に抜け落ちている観点や飛躍があったりすると相手は納得できません.この本では,縦と横の論理という整理法で論理を形成する技術を紹介しています.

仮説検証力とは,まず相手の疑問を知り,次にその疑問に対して答えるための技術です.この本では,この一見当たり前に見えることが,実際にはいかにできていないかを指摘しています.それを目的,論点,仮説,検証,示唆の5段階で進めることだ大事だと力説しています.

会議設計力とは,退屈になりがちな会議を,本当に実りある時間に変えるための技術です.この本では,会議しているという認識,会議の論点,提案全体の中での今回の提案の位置づけ,相手に合わせた論理という4つの観点から,会議の「着地点」と「着地スタイル」の設計をする方法を示しています.

資料作成力とは,提案内容を示す資料を効果的に作成するための技術です.メッセージ,チャート,スライド,パッケージ,マテリアルの5つにモジュール化された資料を作るべきだと述べています.

この本自体が上記の4つの観点で整理されたプレゼンテーションの模範例としてよくできています.企業向けのプレゼンテーションをする人全員が読むべき本だと思います.一方,はじめてプレゼンテーションを作る学生には抽象的で高度すぎる内容かもしれません.PowerPoint  をどう使ってどういう資料を作ってという本の方が有益でしょう.むしろ学生のプレゼンテーションをレビューする立場の教員の方が有用かもしれません.